どのキャットフードメーカーもアレルギー除去食を販売しています。その中でも加水分解だとか低分子プロテインだとかうたっているものを見たことはあるでしょうか。耳慣れない単語かと思いますので、具体的にどういうもので実際どうなのか考えてみたいと思います。
低分子ってなんだろう
最近では低分子コラーゲンといった低分子サプリメントも販売されていますね。
まず、分子というのは理科の時間に習ったと思いますが原子がくっついたものです。水(H2O)でいえばHやO単体が原子で、H2Oが分子です。水としての特徴を持つ、これ以上分解できない単位を水の分子と呼びます。
低分子というのは、高分子に対する言葉です。何を高分子と呼ぶかは微妙な部分があるのですが、極端に言うと原子量が多かったり分子量が多い分子を高分子と呼びます。キャットフードの世界ではたんぱく質、炭水化物、脂肪などが高分子とされています。
低分子化とはつまり、高分子の物質を分解して、分子量の少ない状態にしたものを指します。高分子の物質は高分子である状態でその物質としての特徴を持っていますから、低分子に分解してしまうと高分子の時にあった特徴を失うことになります。
日常生活に関係ない話だと思われるかもしれませんが、我々も日常的にこの低分子化を行っています。そう、消化です。高分子は低分子化されて吸収されます。(ただし、高分子のまま吸収される物質もあるそうです)
なんで低分子化するんだろう
高分子の物質を分解して低分子にすると言いましたが、キャットフードでなぜそんなことをするのでしょう。
それには2つの理由があります。
- 高分子状態の物質をうまく消化できない場合、あらかじめ低分子化してやれば吸収しやすい
- 高分子状態の物質がアレルゲンである場合、低分子化することによってアレルギー反応が起こりにくくなる
これは小麦グルテンによるセリアック病やリーキーガットの話とも通じます。
つまり、猫が消化を苦手とする物質であったり、アレルギーのある物質を低分子化することによって、吸収可能で無害なものに変えようということです。正直なところ、ここまでくると点滴打ってるのと大差ない気はします。
加水分解ってなんだろう
低分子化の話をしてきましたが、加水分解という言葉があります。ロイヤルカナンのアレルギー療法食である低分子プロテインは、加水分解したタンパク源を使用とうたわれています。
加水分解を広い意味で言ってしまうと、水と反応して分解することです。
キャットフードにおける加水分解とは、簡単に言うと胃でやってることを試験管でやって低分子化することになります。たんぱく質の分解には水とプロテアーゼという酵素が必要です。これをたんぱく質の加水分解と言います。
ロイヤルカナンの低分子プロテインはつまり、加水分解して低分子化したプロテイン(=たんぱく質)を使用していますよと言っているわけです。
低分子化のデメリット
どの程度、低分子化されるかにもよりますが、低分子化されればされるほど元の物質から違うものになっていきます。元の物質が持つ効能が薄まったり、無くなったり、変質する場合もあります。
私が把握しているデメリットはこの程度のものです。だったら全ての食品を低分子化すれば良いという意見が出てもおかしくない気はしますが、先にも述べましたが点滴と変わりません。人間がみな点滴しているかというとそうではないですし、確かに点滴のみで人間は生きられるでしょうが、十分健康かどうかは疑問です。
サプリメントとしては無限の可能性を秘めたものだと言えると思いますが、主食としてはどうなんだろういうのが個人的な感想です。
低分子キャットフードまとめ
アレルギーがあったり、セリアック病である場合には1つの解決策になりうるとは思います。
ただ、そもそもアレルゲンを排除したフードや消化可能なフードに変えるべきです。そうは言っても複合的な病気の場合やアレルゲンの排除が難しい場合もあると思いますし、価格の問題もあると思います。
例えばロイヤルカナンには腎臓サポート+低分子プロテインといった商品があります。アレルゲンや腎臓の状態にも拠りますが、市販のフードにしろ手作りにしろ、これを代替するのは結構大変だと思います。(この商品が良い商品だとは言ってません)
なかなか難しいところですが、材料の一部が低分子なだけの中途半端な低分子フードも多いです。アレルゲン対策の場合は低分子という商品名に踊らされず、よくよく原材料を確認することをお勧めします。