猫と炭水化物

多くのキャットフードに入っている炭水化物。グレインフリーフードが流行していますが、猫にとって炭水化物は悪いものなのでしょうか。検討したいと思います。

炭水化物とは何か

糖質と食物繊維を合わせて炭水化物と呼びます。糖質の主なものは、糖類とでんぷんです。

でんぷんは分解すると糖になります。でんぷんは言わば、貯蓄用の糖です。植物が光合成するときにでんぷんが作られます。特にでんぷんの量が多いものは米、小麦、コーンなどの穀物、芋、豆などです。栄養を貯める必要がある根や種子にはでんぷんが多く含まれています。

炭水化物は消化されるとグルコース(ブドウ糖)となって吸収されます。グルコースは体内を血液で運ばれてエネルギー源となります。スポーツ用にブドウ糖タブレットなどが販売されていますが、消化しなくてもすぐエネルギー源になるからです。

炭水化物の消化の仕組み

炭水化物は唾液や胃液などを通じて分解されていき、腸ではマルターゼなどの酵素によってグルコース(ブドウ糖)にまで分解されます。腸で吸収されたグルコースは血液中に流れ、全身の細胞に届けられます。

グルコースを受け取った細胞では、細胞の中にあるヘキソナーゼという酵素がグルコースからエネルギーを作ります。このヘキソナーゼは人間にも猫にも存在します。

猫は炭水化物を消化できる?

人間にとって炭水化物は欠かせないエネルギー源ですが、猫にとってはどうでしょうか。

猫にとってもたんぱく質、脂肪、炭水化物(=糖質)が必要な栄養素であることに変わりありません。しかし猫はたんぱく質からグルコースを作ることができます。これを糖新生といいます。このことから、猫は炭水化物を摂取しないでも生きていける動物と言うことができます。

ただこれは炭水化物が無くても良い理由であって、不要な理由にはなりません。猫は炭水化物を摂取したほうが良いのでしょうか。

炭水化物を消化する第一段階は唾液です。アミラーゼという酵素が行いますが、これは猫も持っています。よって、猫は炭水化物を唾液で消化できます。

次に、第二段階は胃液です。こちらではペプシノーゲンという酵素が炭水化物を分解しますが、やはり猫にも存在します。

更に第三段階の十二指腸及び小腸に送られて、膵液に含まれるアミラーゼ、マルターゼ、ラクターゼによって更に分解されグルコースになります。これらもやはり猫にも存在します。

こう見ると猫は炭水化物を消化できると言えそうです。

猫にとって炭水化物は必要か?

一般に猫は炭水化物の消化が苦手だと言われています。考えるために更にグルコースの続きを追いたいと思います。

グルコースはエネルギーになりますが、余ったグルコースは肝臓に行きます。そこでグルコキナーゼという酵素によってグリコーゲンを作り、血糖値を調整します。逆に血中のグルコースが少なくなればグリコーゲンからグルコースを作るわけです。

猫にはこのグルコキナーゼが少ないと言われています。つまり、猫はグルコースのコントロールが苦手ということができると思います。

ここで思い出されるのはグルコースはたんぱく質からも作ることができる点です。作られるグルコースは炭水化物由来だろうとたんぱく質由来だろうと違いはありません。

炭水化物は消化すればグルコースになりますが、たんぱく質はグルコースが足りない場合にグルコースになります。つまり、極論かもしれませんが猫は炭水化物を摂取しないことによってグルコース量をコントロールしているとも言えると思います。

逆に言えば、必要なエネルギー分だけ炭水化物を与えるのであれば、エネルギー源が炭水化物でも良いのではないかと言うこともできます。実際、多くのキャットフードは炭水化物比率が非常に高いものばかりで、第一材料が穀物であることも珍しくありません。しかし、それらを食べて長生きしている猫もいます。もちろん、個体差は無視できませんが、一概に炭水化物は害悪と断じてしまうのは早計に過ぎると思われます。

また、調査結果があるわけではありませんが、栄養不足で衰弱した猫の場合、たんぱく質を摂取するよりも炭水化物を摂取したほうが短時間で元気になるのではないかとも想像できます。人間がブドウ糖の点滴をするイメージに近いのですが、どうなんでしょうね。

猫と炭水化物まとめ

キャットフードに炭水化物は必要か不要かで言えば、糖質の面では不要となると思います。しかし、炭水化物が含まれているからと言ってダメかというとそうではありません。結局のところ適量であることが最も重要であるように思います。猫にとっても腹八分目くらいで良いのではないかと考えます。(聞き分けてくれませんが…)

そして、保存性や価格などを考えるとキャットフードに炭水化物は使用せざるを得ない部分はあると思います。常に手作りしたり、肉フードを与えられれば良いですが、全てが全てそうはいきません。ただ、有名メーカーのものでも粗悪なフードは沢山ありますので、原料を吟味する癖はつけたいものです。