今更だけど総合栄養食と療法食の本当のところ

総合栄養食。初めて猫を飼う時に調べた方も多いと思います。今更ですがきちんと理解していますか?特に総合栄養食と療法食について今改めて考えてみたいと思います。

キャットフードの種類

キャットフードには以下の種類があります。

  • 総合栄養食
  • 療法食(その他の目的食の1区分)
  • 間食
  • その他の目的食

総合栄養食について

一般社団法人ペットフード協会で以下のように定義しています。

毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフードと水だけで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養素的にバランスのとれた製品であって「ペットフード公正取引協議会」の定める試験の結果を基に定められています。ペットフードの目的として「総合栄養食」と表示をする場合は、そのペットフードが適用となる犬又は猫の成長段階が併記されています。「総合栄養食」と表示をするためには、各事業者が自らの責任において定められた試験を行わなければなりません。1つは、製品の分析試験の結果を施行規則の栄養基準と比較し、栄養成分の基準に合致しているかを証明する「分析試験」。もう1つは、実際に給与試験を行って総合栄養食であると証明する「給与試験」。この2つの試験により証明されています。

いくつか補足します。

ペットフード公正取引協議会について

この基準を定めているペットフード公正取引協議会は任意団体であり法的拘束力はありません。ただし、日本国内で販売されるペットフード社の90%以上は会員です。

法律としては「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」がありますが、これは安全性(有害物質、汚染物質を含まないこと)を規定している法律です。死亡するような成分が含まれないことを保証するものであり、犬や猫の食事として最適かどうかの基準ではありません。

ペットフード公正取引協議会が定める規定について

AAFCO(全米飼料検査官協会)の栄養基準を採用しています。

総合栄養食であると証明する試験に分析試験と給与試験があります。ペットフード公正取引協議会によると両方ではなく、片方を満たしていれば総合栄養食と表記できます。

この試験をクリアした製品にはペットフードに以下の表記または同等の表記が行われています。

  • 「この商品は、ペットフード公正取引協議会の定める分析試験の結果、総合栄養食の基準を満たすことが証明されています。」
  • 「この商品は、ペットフード公正取引協議会の定める給与試験の結果、総合栄養食であることが証明されています。」

総合栄養食には必ずどちらかの表記があるはずですが、必ずしも上記のような分かりやすい言葉ではないかもしれません。

AAFCO(全米飼料検査官協会)が定める基準について

AAFCO(全米飼料検査官協会)が定める基準は、犬や猫が栄養学的に生きるのに必要な栄養分を満たしているかを判断するのに有用です。しかし、AAFCOはその原料などについては定めていません。極端に言えば、残飯にサプリを混ぜてなんとか基準を満たしてもクリアと言えます。

そして給与試験についても1匹の犬や猫の生涯に渡って試験したわけではありません。各ライフステージの特定の期間について試験するのみです。長期的にあなたのペットにとって生涯安全かは誰にもわかりません。

療法食について

一般社団法人ペットフード協会で以下のように定義しています。

治療の内容に合わせてフード中の栄養成分の量や比率が調節され、治療を補助する目的で使用されるフードで、獣医療において獣医師の指導のもとで食事管理に使用されることを意図したものをいいます。

ここで注意したいことが2点あります。

  1. 獣医師の指導のもとで使用されるべき
  2. ほとんどの療法食はAAFCO(全米飼料検査官協会)が定める基準をクリアできない

特定の病状治療のための食事なので当たり前なのですが、改めて考えると重要な点だったりします。

療法食は基本的にはAAFCO(全米飼料検査官協会)基準から治療方法に合わせて栄養価を足したり引いたりして作られますが、普通は総合栄養食にはなりません。

これはどういうことかというと、療法食を食べると生物学的に何らかの栄養素が足りない状態になるのです。特に予防のためと思って療法食に切り替える場合、健康な状態から栄養素が欠けてしまうことになります。

療法食についてヨーロッパでは養特性や表示について法規制があります。オーストラリアには事前登録を必要とするなどのガイドラインがあります。アメリカではFDA(アメリカ食品医薬品局)と業界団体が主導し獣医師の関与を徹底しています。

本来、療法食は動物病院経由で入手されるべきものです。飼い主の勝手な判断で与えてしまうと健康被害を招く恐れがあります。

食物アレルギー対策や尿路結石対策など、原材料の工夫によって対処可能なものは良いのですが、総合栄養食でない本当の意味での療法食は、生命維持に必要な栄養バランスが崩れるリスクがあることを十分に理解してご使用になることをお勧めします。

間食について

一般社団法人ペットフード協会で以下のように定義しています。

おやつやスナック又はご褒美として、限られた量を与えることを意図したペットフードです。

給与限度量は、原則として1日当たりのエネルギー所要量の20%以内に抑えることが求められています。

要するに毒でなければなんでもいいものです。もともとは「しつけ」に利用することを想定していると思われます。

成分的にはなんの基準にも準拠していませんので、使用される場合は成分表や原料をよくよく確認されることをお勧めします。特になんらかの疾病を患っているペットには毒になりうるので要注意です。

その他の目的食

一般社団法人ペットフード協会で以下のように定義しています。

「総合栄養食」「療法食」及び「間食」のいずれにも該当せず、特定の栄養の調整又はカロリーの補給、あるいは嗜好性増進などの目的を満たすもの、更にはペットフード又は食材とともに与えられることを意図したものを言います。

間食の定義が自由すぎるので、何らかの目的を持った毒ではないものはその多目的食になります。主にサプリまたはふりかけがこれに分類されます。

特に多いのは**菌といった製品でしょうか。有用なものも多いですが、眉唾ものも大変多く消費者が最も騙される分野です。

まとめ

総合栄養食とは生物学的に必要な栄養分を満たしていることの証明です。その品質の高低は何も保証されません。あくまで目安の一つと考え、成分表や原材料を自分で確認することが重要です。

人間の世界でも1日分の野菜が取れる野菜ジュースやサプリメントなど、中に何が入っているかを確認せず謳い文句だけで商品が選ばれがちです。人間用の食料はペット用よりずっと厳しく守られていますが、ペット用の規制は大変荒いザルです。食べて死にはしないけれど、長期間摂取するとペットの個体差によっては健康被害があるものも多く存在します。

また、療法食は長期間の誤使用によって健康被害が出ます。誤使用でなくとも、特定の病気の進行を遅らせるために他の機能が犠牲になるものもあります。盲目的にこの病気だからこのフードというものではありません。療法食の成分と目的やリスクを理解することが大切です。

ペットを守ってあげれらるのは飼い主だけです。一番大事な毎日の食事についてもう一度見直してみてはいかがでしょうか。