キャットフードの添加物

成分表の基本的な読み方の続きになります。今回は添加物について書いていきたいと思います。

キャットフード成分表の基本的な読み方
意外と知らない成分表の読み方の基礎部分をご紹介したいと思います。

添加物とは何か

食品衛生法では食品添加物を以下のように定義しています。

添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するものをいう。

添加物と言う場合、普通は食品添加物を指します。ただこれは人間が食べるものなのでペットフードには必ずしも当てはまりません。家畜などの飼料に添加するものは飼料添加物と呼び、分けています。ただ、添加物と言う言葉の意味は食品添加物も飼料添加物も同じです。

添加物の目的

添加物は基本的には以下の目的を持って使用されます。

  • 風味、見た目を良くする
  • 保存性を上げる
  • 栄養分を強化する
  • 製造、加工の工程で必要になる

4つめの「製造、加工の工程で必要」と言うのは、例えば豆腐は凝固剤(にがり)となるものがないと固まりません。製品を作るうえで添加しないと作れないという意味です。

3つめの「栄養分を強化する」というのは人間の観点からすると変な感じがしますが、ペットフードでは普通のことです。総合栄養食としての基準を満たすために、足りない栄養素を補うのです。

添加物を使わずとも様々な材料を組み合わせて栄養バランスを取るというのは不可能でないと思いますが、多すぎてもいけないわけで、実際にはかなり難しいと思います。難しいというのはイコール価格に反映されるので、現実問題として添加物なしで総合栄養食を名乗るのは困難です。

そして2つ目の「保存性を上げる」ですが、今は強力な添加物の使用が減ったので、プレミアムドライフードは開封後せいぜい1か月くらいしか持ちません。小分けパックはどうしても価格が高くなるので、1カ月というのは価格と安全性の落としどころでしょう。

最後になりますが「風味、見た目を良くする」。これが一番不要な添加物です。ただ、猫は好き嫌いが激しいことが多いので、現実的にはやむを得ない場合も多いかもしれません。

ペットフードで使用可能な添加物

ペットフードの添加物基準は、ペットフード工業会が「添加物使用に関する自主規準」で定めています。その基準としてはアメリカ、ヨーロッパで使用可能な添加物、および日本における食品添加物、飼料添加物が使用可能です。

アメリカとヨーロッパと日本で使っていい添加物は全部OKなのですから、正直なところかなり無責任です。

指定添加物リスト|厚生労働省行政情報
既存添加物リスト|厚生労働省行政情報
飼料添加物一覧|独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)

食品添加物の種類

食品添加物はその性質によってさらに分けられています。指定添加物以外は天然由来となります。

指定添加物

厚生労働大臣が安全性と有効性を確認した添加物。天然由来か化学合成かは問いません。

既存添加物

厚生労働大臣が認めた長年使用されている天然添加物。実績はありますが立証されていないものもあります。天然添加物と言うのは自然に存在するという意味であり、食品以外でも例えば虫や石から採取されるものも含みます。

天然香料

動植物から得られる香りをつけることを目的とした添加物。使用量も微量であり、一応安全と言われています。

一般飲食物添加物

食品として流通しているものを添加物として使用したもの。そもそも食品なので安全性は高いです。

添加物の危険性

添加物自体は危険なものもあればそうでないものもあります。

ちなみに、食品添加物は人間が食べる食品に添加可能なものを指します。飼料添加物は家畜のえさとして許可されている添加物を指します。飼料添加物の中には人間に危険と判断されるものもあり、人間が家畜を食べる場合は、残留物が一定以上ある場合流通を禁止しています。

こういう書き方をすると飼料添加物が許されるペットフードってとても危険なのではないかと思うかもしれません。もちろん長期間摂取したら危険なものもあるでしょう。それは人間用の食品添加物でも同じ話で、ちょっと検索すればいくらでも不安を煽るサイトが見つかるはずです。結局のところ添加物規制も発展途上なわけで、人間用が安全かと言うとそうとは限りません。今後も新たな発見で規制されていく添加物は大いにあるでしょう。

人間にとって安全でも猫にとって安全とは限りませんし、人間と違って同じものを食べ続け、しかも体が小さいペットは影響が早く出るかもしれません。だからこそご自身で添加物を確認して、ペットの摂取する添加物を把握した上で与えるということが重要なのだと思います。ただ、人間用の食品添加物基準の方がリスクが少ないというのは事実なので、できればそのほうが良いです。そのためには成分表示のしっかりしたフードでなければいけません。何が入っているのか分からないものではリスク管理もできないからです。

添加物の解説

では用途別に添加物を見ていきましょう。安全性については迂闊なことを言えませんので各自調べてみてください。なお、代表的な用途でまとめていますが、1つの物質が2つ以上の用途を持つことも珍しくないです。

乳化剤

乳化剤と言うのはその名の通り、乳化させるためのものです。水と油のような混ざりにくいものを混ざりやすくするために使用します。水と油が混ざらないのはそれぞれの境界(=界面)が反発しあうからです。これを水と油両方になじむ物質を入れてやると反発が小さくなって混ざるのです。このことから乳化剤は界面活性剤とも言われます。洗剤に入っているのも油汚れを水で落とすためです。

キャットフードで考えると、ドライよりウェットで使われます。ほとんど水ですからね。乳化剤が無いと脂が分離して浮いてしまうのです。

代表的な乳化剤は以下になります。

添加物 分類 備考
大豆サポニン(大豆抽出) 食品添加物(既存)
植物レシチン(大豆油、菜種油から分離) 食品添加物(既存)
ヒマワリレチシン 食品添加物(指定)
グリセリン脂肪酸エステル 食品添加物(指定)
ソルビタン脂肪酸エステル 食品添加物(指定)
プロピレングリコール脂肪酸エステル 食品添加物(指定) プロピレングリコールは日米で猫用フード添加禁止
ショ糖脂肪酸エステル 食品添加物(指定)
ポリリン酸ナトリウム 食品添加物(指定)
ポリソルベート(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル) 食品添加物(指定)
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル 飼料添加物

増粘安定剤・増粘多糖類

増粘安定剤は用途別に3つに分けられます。物質的には同じものを使うので、用途によって呼び方が変わります。また、複数使用するとまとめて増粘多糖類と表記されることもあります。

増粘剤 …粘りやとろみをつける
安定剤 …接着し形が崩れないようにする
ゲル化剤 …ゲル化する

いずれもやはり水分の多いウェットフードでの使用が多いです。ゼラチンみたいのが入ってたり、トロットしてたりしますね。正直無くてもいい気はするのですが、食感の向上と、食べやすさのためのようです。

代表的な増粘安定剤は以下になります。

添加物 分類 備考
ペクチン 食品添加物(既存)
グアーガム 食品添加物(既存)
キサンタンガム 食品添加物(既存)
タマリンドガム 食品添加物(既存)
カラギーナン 食品添加物(既存) 実質的に発がん性は無さそう
プロピレングリコール 食品添加物(指定) 日米で猫用フード添加禁止
カルボキシメチルセルロース 食品添加物(指定)
アルギン酸ナトリウム 食品添加物(指定)
カゼインナトリウム 食品添加物(指定) 牛乳アレルギー注意
ポリアクリル酸ナトリウム 食品添加物(指定)

なお、余談だがジウィピークでは寒天やひよこ豆を増粘剤替わりとして使用しています。上記のようなものを使用せずとも一般食品だけでも効果は得られるという事例です。

酸化防止剤

脂質は空気に触れると酸化します。不飽和脂肪酸が酸化すると過酸化脂質となります。過酸化脂質は細胞を壊したり、動脈硬化を起こしたり様々な病気の原因となると考えられています。これを防ぐために酸化防止剤が必要になります。なお、光に当てても酸化は助長されるので、保存時は暗いところに置けと書いてあるのはこういう理由に拠ります。

代表的な酸化防止剤は以下になります。

添加物 分類 備考
カテキン 食品添加物(既存) 多量摂取で肝臓障害の疑い
プロポリス抽出物 食品添加物(既存)
ヒマワリ種子抽出物 食品添加物(既存)
ユッカフォーム抽出物 食品添加物(既存) ユッカアラボレセンス又はユッカシジゲラ
ローズマリー抽出物 食品添加物(既存)
酵素分解リンゴ抽出物 食品添加物(既存)
トコフェロール(ミックストコフェロール) 食品添加物(既存) ビタミンEのこと
クエン酸 食品添加物(指定)
L-アスコルビン酸 食品添加物(指定) ビタミンCのこと
エリソルビン酸 食品添加物(指定) ビタミンCの構造異性体
ジブチルヒドロキシトルエン(BHT) 食品添加物(指定) 米国では乳幼児用食品への使用が禁止
ブチルヒドロキシアニソール(BHA) 食品添加物(指定) 軽微な発がん性指摘
亜硫酸ナトリウム 食品添加物(指定) 毒性が強いと言われています
没食子酸プロピル 食品添加物(指定) 変異原性あり
二酸化硫黄 食品添加物(指定) 喘息の原因と言われています
エトキシキン 飼料添加物 米国では使用量について揉めています

添加物のほとんどないフードでも、酸化防止剤だけは入っていることが多いですね。

BHA、BHT、エトキシキンはペットフード安全法で使用上限が定められている添加物であるため特に憎まれているようです。毒性や臨床結果などを調べるとまだ不明点が多く、個人的にはちょっと過剰反応ではないかと思ってしまいます。

ただ、使用量の制限が人間に比べてかなり緩いどころのは事実なので積極的に与えたいものではありません。人間と同じ基準でいいどころか体が小さい分もっと厳しくてもいいと思うのですけれど…。

防かび剤・保存料

防かび剤はその名の通り、カビの発生を防ぐものです。プロピオン酸は若干臭気があるものの毒性はなさそうです。

保存料は細菌の繁殖を防ぐものです。防かび剤と似ていますが、カビは真菌なのでちょっと違うのです。生肉を加熱せず加工する場合に使用します。亜硝酸ナトリウムは生ソーセージなどに入っていますが、慢性的に摂取するペットにはリスクが大きいです。

添加物 分類 備考
プロピオン酸 食品添加物(指定) 臭気あり
プロピオン酸カルシウム 食品添加物(指定)
プロピオン酸ナトリウム 食品添加物(指定)
亜硝酸ナトリウム 食品添加物(指定) 劇薬指定、発がん性物質生成

着色料

着色料は色々ありますが、着色は飼い主のためのもので、キャットフードには不要です。無害有害を問わず、着色料を使用したフードを選択する必要性はないと思います。

添加物 分類 備考
赤色2号 食品添加物(指定) 米国では食品使用禁止
赤色3号 食品添加物(指定) 発がん性
赤色40号 食品添加物(指定) 腎臓障害
赤色102号 食品添加物(指定) アレルギー
赤色104号 食品添加物(指定) 発がん性
赤色105号 食品添加物(指定) 遺伝子損傷
赤色106号 食品添加物(指定) 発がん性
黄色4号 食品添加物(指定) アレルギー
黄色5号 食品添加物(指定) アレルギー
緑色3号 食品添加物(指定) EU米国禁止
青色1号 食品添加物(指定) 発がん性
青色2号 食品添加物(指定) 発がん性
三二酸化鉄 食品添加物(指定)
二酸化チタン 食品添加物(指定) 発がん性

一般飲食物添加物にも着色料は大量にありますので、どうせ使うなら一般飲食物添加物が良いです。(例:アカキャベツ色素、ブルーベリー色素など)

調味料、甘味料、香料

そのまま味や匂いを変えるためのものです。調味料にはアミノ酸、核酸、有機酸、無機塩の4つの種類があり「調味料(アミノ酸)」という感じで記載されることが多いです。うま味調味料の是非については議論が絶えないですが、恐らく人間の方が多く摂取していると思います。

味を変えるという意味では酸味料や苦味料だなんて分類もあるのですが、猫が嫌うのでキャットフードにはまず入りません。

添加物 分類 備考
タウマチン 食品添加物(既存)
ステビア抽出物 食品添加物(既存)
ラカンカ抽出物 食品添加物(既存)
L-グルタミン酸ナトリウム 食品添加物(指定) うま味調味料
グリシン 食品添加物(指定)
DL-アラニン 食品添加物(指定)
L-アスパラギン酸ナトリウム 食品添加物(指定)
5’-イノシン酸ナトリウム 食品添加物(指定) うま味調味料
5’-グアニル酸ナトリウム 食品添加物(指定) うま味調味料
サッカリンナトリウム 食品添加物(指定)
スクラロース 食品添加物(指定)
グリチルリチン酸二ナトリウム 食品添加物(指定)
アセスルファムカリウム 食品添加物(指定)
キシリトール 食品添加物(指定)
シクラミン酸ナトリウム 日米で食用禁止EUはOK
シクラミン酸カルシウム 日米で食用禁止EUはOK

もちろん、ナトリウムやカリウム(要するに塩)も使用されます。

栄養強化

AAFCO基準を満たすために添加されます。特にこれと言うものはないのですが、アミノ酸、核酸、ビタミン、ミネラルが添加されると思います。食品で全てをまかなえれば良いのですが、それもなかなか難しいです。多かれ少なかれ何らかの栄養強化は行われていると思います。

キャットフードと言うのは後は水だけあれば一生それだけでも栄養価的には平気な製品です。人間の食事を考えるとそれがいかに難しいかわかると思います。1回の食事で全ての栄養素をバランスよく摂取なんて不可能です。栄養強化はサプリメントみたいなものだと思えばよいと思います。

これについては必要な栄養素を添加しているだけであり、物質を挙げてもあまり意味がないので表にしません。しかし、添加の少ないキャットフードというのもありますので、探してみるのも良いと思います。ちなみにK9ナチュラルなどはかなり少ない部類のフードです。(大変高価ですが)

添加物まとめ

添加物全てが悪いわけではありません。しかし今は毒性がないと言っていてもそのうち毒性が発見されることもあります。余分な添加物は無いに越したことはありません。

気にしすぎる必要はないと思いますが、少なくとも現在安全性が確認されており、必要最小限の添加物を使用したフードを選ぶべきだと思います。必要最小限の添加とは、酸化防止剤と栄養強化くらいです。その他はこの際無くても良いと考えます。

ただ、気をつけなければいけないのはライフスタイルとかみ合っているかどうかです。例えば1カ月に2キロしか食べないのに5キロの大袋でフードを買うのであれば、最低でも開封後2カ月半は持たせる必要があります。2カ月半持たせるためにはそれなりの添加物が必要になります。

2カ月半持たせなければいけないのに、添加物が少ないフードを買っても逆に品質劣化でより重大な事態になりかねません。添加物より腐ったものを食べるほうがよほど健康被害が大きいです。(食べないと思いますが…)

ペットフードを買うという時点で添加物とは切り離せないのです。やみくもに添加物を減らすのではなく、用途に合った添加物を最小限使う、そのことの方が大切だと考えます。