ドライとウェットの成分比較方法

成分表のリン値などを比較するとき、ドライフードとウェットフードの数値をそのまま比べていませんか。今回は成分表の比較の仕方をご紹介します。


ドライフードとウェットフードの成分を比べたいことが良くあります。特にリンやカリウムの含有量を比較したい場合です。表記をそのまま比べてしまうと、ウェットフードと言うのはドライフードに比べてカロリーも低いし、ミネラルも少ないことになってしまいます。非常によくある勘違いの1つで、低リンのつもりがかえってリンの多いフードを与えていたなんてことがあります。

乾燥重量ってなに

比較の前にまずは乾燥重量についてお話ししたいと思います。乾燥重量と言うのは水分を除いた後の重量のことです。車でもオイルとか除いた重量を乾燥重量と言いますね。フードによって水分量は異なるので、乾燥重量を使用することである一定量内の成分比が正確に比較できるのです。

例えばこういうドライフードがあるとします。

ドライ
粗たんぱく質 30.0%以上
粗脂肪 25.0%以上
粗繊維 2.0%以下
粗灰分 8.0%以上
水分 10.0%以下
エネルギー 300kcal/100g

これは水分が0ではないので乾燥重量ではありません。これを乾燥重量での比率にするには、水分を除外する必要があります。水分は10%ですから、残りは90%です。90%を水分以外の成分で分けて全体で100%になるように計算するのです。

ドライ
乾燥重量1.1倍
粗たんぱく質 33.0%以上
粗脂肪 27.5%以上
粗繊維 2.2%以下
粗灰分 8.8%以上
水分 0
エネルギー* 333kcal/100g
* エネルギーについては難しいところなのですが、水の重量を1ccで1gだとして水を除外すると90gに減ります。しかし水のカロリーは0として計算するのでカロリーは変わらず重さだけ減って300kcal/90gということになります。ここで100gに戻すために足りない10gを乾燥重量で追加するので、その熱量は300kcal/90gですから、10gだとで33kcalになります。誤差の範囲なので小数点以下はこの際切り捨てます。

これが乾燥重量での成分表です。成分についてはAAFCOが定めていますが、AAFCO基準は乾燥重量です。しかしキャットフードの成分表は水分込みですので、厳密にはそのまま比較できません。ただ、ドライフードの水分量は普通は10%ですので、乾燥重量にしても10%しか差が無いためあまり気にしません。

ドライとウェットを比較するには

ドライとウェットを比較する際に重要な点が2つあります。この2つです。

  • 水分量の違い
  • カロリー

乾燥重量で成分比較

水分量の違いについては、基本的にはドライは10%程度でウェットは75%以上が水分です。両者を比較するためには、水分量を除いて考えることが大切です。ドライは1.1倍、ウェットは約4倍して比較するのが良くあるやり方です。

言葉だと難しいので例としてジウィピークを見てみます。

ドライ ウェット
粗たんぱく質 35.0%以上 10.0%以上
粗脂肪 25.0%以上 7.0%以上
粗繊維 1.6%以下 2.0%以下
灰分 8.0%以上 2.0%以下
水分 14.0%以下 78.0%以下
カロリー 469kcal/100g 110kcal/100g

このドライフードは14%が水ですからこれを除外すると残りは86%ですね。100/86=1.16。つまり、1.16倍すれば乾燥重量になります。同様に、ウェットフードの場合は100/22=4.55。4.55倍すれば乾燥重量になります。では上記表を倍してみましょう。

ドライ
1.16倍
ウェット
4.55倍
粗たんぱく質 40.6%以上 45.5%以上
粗脂肪 29.0%以上 31.85%以上
粗繊維 1.856%以下 9.1%以下
灰分 9.28%以上 9.1%以下
水分 0 0
カロリー 545kcal/100g 500kcal/100g

こうすると、かなり比較しやすいと思います。上記の比較ではドライよりウェットの方が繊維がかなり多いことがわかります。逆に、糖質はかなり少なそうです。

水分量10%で1.1倍、75%で4倍と覚えておくと大まかな計算では便利です。ただ、ドライフード同士を見る場合、乾燥重量はあまり気にしないでいいと思います。AAFCO比でも1.1倍ですし、ドライフード同士ならその差はもっと小さいです。

カロリーで摂取量比較

乾燥重量で比較を行いましたが、これではまだ正確な比較にはなりません。両方とも100g食べる場合はこの比率でいいのですが、実際に摂取する量はエネルギー量で決まります。

1日に必要なエネルギー量が200kcalだとすると1日に必要なドライ(乾燥重量)のグラム数は200/545*100=36.7gです。ウェットだと200/500*100=40gとなります。この摂取する重量に対して各成分の比率をかければ摂取する各成分の重量が分かります。

ドライだとたんぱく質は1日36.7*40.6/100=14.9gとなります。
ウエットだとたんぱく質は1日40*45.5/100=18.2gとなります。

この計算は特にリンやナトリウムなどのミネラルについて有用です。1日の摂取量を考えずに比較してしまうと、カロリーが低いフードは摂取量が多いため、仮にミネラルの成分比が同じくらいであれば、1日の給餌量で計算するとカロリーが低いほうがずっと多くミネラルを摂取していることになります。カロリーが半分なら摂取量は2倍になるのです。

腎不全療法食の場合、普通は高カロリー低リンでしょうから比較しなくてもいいかもしれませんが、違うメーカーの似たような製品を比べるとき、カロリーと言うのは何をどれだけ摂取するかに直結しますので、ぜひ計算してみてください。

ただ、普通はこんな面倒なことをしなくても「推奨給餌量×成分表」の結果が摂取量になるはずなので、それを比較すれば十分かと思います。

比較まとめ

非常にややこしい感じになってしまいましたが、成分比はAAFCOを1として、ドライは1.1倍、ウェットは4倍(水分80%なら5倍)になると覚えておけば大きくずれないと思います。

そして成分比が低くても給餌量が多ければ摂取量が増えてしまうということを忘れないでください。低カロリーでもミネラルはあまり変わらなかったりしますから注意です。